感染症予防
高齢者の中には感染症を持った方もいるの。
だからと言って口腔ケアをしない訳にはいかないのよ。
感染症を持った方への口腔ケア
高齢者の中には感染症を患い、そのウイルスを持っている方もいます。
このような方へ口腔ケアを行う場合には、注意が必要です。
事前に感染症の有無を確認しておきましょう。
多くみられる感染症
注意すべき主な感染症をいくつか挙げておきます。
- インフルエンザ…飛まつ感染
咳やくしゃみの中のウイルスが、目、鼻、お口などの粘膜に付着することにより感染します。 - 結核…空気感染
咳やくしゃみの中に含まれるウイルスを吸い込むことにより感染します。 - B型・C型肝炎…血液感染
血液や体液が、傷口などから身体に侵入することにより感染します。 - ノロウィルス
接触感染、飛まつ感染、空気感染が当てはまります。
嘔吐物や便などに接触した手を介して感染する場合のほか、嘔吐物などからウイルスが舞い上がり、粘膜に付着したり吸い込んだりすることで感染します。
感染を予防するために
次のような対策を行うことで、高齢者にとっても、介護者にとっても安全な口腔ケアを行うことができます。
グローブ/ディスポーザブル手袋(使い捨て手袋)の着用
特に認知症の方への口腔ケアの際、誤って噛まれてしまう恐れがあります。
また、介護者の手指に小さな傷口があっても、そこから細菌やウイルスは侵入します。
それを防ぐために、口腔内を触る時には、必ずグローブを着用してください。
使用後あまり汚れていなかったとしても、だ液は付着します。
一人の方から別の方への感染を防ぐため、1回の使用でも捨てるようにし
何人もの口腔ケアを同じグローブで行わないよう徹底しましょう。
マスクの着用
咳やくしゃみが目立つ場合には、特に着用を心がけましょう。 相手の咳やくしゃみからの感染を防ぐためのほか、 自分からもケアをする相手にうつさないための注意が必要です。
手洗いの徹底
手洗いは「1ケア1手洗い」が基本です。 口腔ケアを行う前と後に、石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。 正しい手洗いの方法は次の通りです。 特に指先と指の間は洗い残しが目立ちますので、よく洗ってください。
基本的な手洗いの手順
手に付いているバイ菌の数を減らすには、流水ですすぐだけでは十分とは言えません。
水での単純な手洗いを行う程度では菌を落とすことは難しいのですが、
石けんや洗浄剤を用いることで適切に落とすことができます。
ここで基本的な手洗い方法を確認して毎日の習慣にしましょう。
1. 流水で手を湿らせ、石けんあるいは洗浄剤を用いる
2. 両手のひらをよくこする
3. 手の甲をこする
4. 指の間もよく洗う
5. 指先は特に入念に洗う
6. 親指をにぎり洗いする
7. 手首も忘れずに洗う
8. 石けんが十分落ちるまで、 こすりあわせていたのと同じ時間をかけて流水ですすぐ
9. ペーパータオルや清潔な タオルなどでよく拭き取り、十分に乾燥させる
アルコール製剤を使う手洗いの手順
アルコール製剤による手洗いの場合、使用量はメーカーの指示に従いましょう。
15秒以内に乾燥しない程度の充分量が目安です。
アルコール製剤の消毒効果を発揮させるにはすり込み方がとても大切です。塗り残しがないよう、アルコールが完全に揮発するまで両手をすり込みましょう。
目に見える汚れがある場合は、まず石けんで洗ってから手指消毒薬を使うことをおすすめします。
1. 15秒以内に乾燥しない量を手にとる
2. 最初に両手の指先を 消毒する
3. 手のひらをすり合わせる
4. 手の甲にすりこむ
5. 指の間は根元にすり込む
6. 親指は反対の手で包むようにしてねじる
7. 最後に手首にすり込み完全に乾燥させる
基本的な手洗いの手順、アルコール製剤を使う手洗いの手順を
それぞれ一枚にまとめた資料「手洗いの手順」をダウンロードできます。
手洗いのポイント
- はじめに手を流水で軽く洗う。
- 石鹸は固体ではなく、液体石鹸を使う。
- 時計や指輪などは外しておく。
- 爪は短く切っておく。
- 使い捨てのペーパータオルを使う。
- 蛇口はペーパータオルで止める。
- 手洗い後は、手をよく乾燥させる。
グローブをしていても、手洗いは必ず必要です。 介護者の手指を介した感染は、感染経路として最も気をつけるべき点です。 もし万が一、手指が汚染されたとしても、直ちに流水下で洗い流すことにより感染を防ぐことができます。
消毒
口腔ケア終了後、消毒をすることでより効果的な感染予防につながります。 消毒は、次の3点を意識して行うようにしましょう。
手指の消毒 | 手洗い後、アルコール含有消毒液を手によく擦り込み、乾燥させます。 |
---|---|
口腔ケアに使用した 器具の消毒 |
基本的に器具は流水で洗い、よく乾燥させておけば細菌の繁殖を防ぐことができます。 ガーグルベースン(のう盆)は流水で洗った後、アルコール消毒をしておくとより効果的です。 器具の消毒をする場合は、口腔内の出血により血液が器具に付着してしまった際などに一時的な対応策として行うことが多いです。 方法としては、消毒液に使用した器具を入れます。お一人おひとり消毒に使う器具も別に用意するとよいです。特に感染症をお持ちの方の場合、必ず分けて消毒してください。 |
机やイスなど口腔ケア後の周囲の消毒 | やむを得ず洗面台ではなく、机やイスなどで口腔ケアをした際にはアルコール含有液とペーパータオルで周囲を拭き取ります。 |
一人ひとりの器具を用意する
歯ブラシやコップなど口腔ケア時に使用する器具は共有せず、必ず個人のものを用意し、分けて使ってください。
グローブやペーパータオルも、一人の方のケアが終わったら
その都度新しいものに取り替えましょう。
グローブって汚れなければもう1回使えると思っていたけど、
それだとだめなんだね。
そう、道具は基本的に使い捨て、共有はしないの。
繰り返し使う歯ブラシや入れ歯ブラシは使用後、しっかり乾燥させておくといいの。